フィステーラ
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フィステーラ
朝は、ごとうさんにいただいたヨーグルトとマフィンとソイジュースを飲んでしっかり朝食をとって出発です。とうとう!ついに!やっとこ!最終日です。
そして未知の領域、30キロ歩きます。フィステーラまでは27キロ、その岬にある灯台まで3キロ、帰ってきてもう3キロ。なのでトータルで33キロ。
昨日の時点では15キロ地点ですでにピークで後は気合いで乗り切って20キロ到着していたので、恐ろしいです。
アルベルゲを出て、海岸沿いからスタートです。6時。スペインの朝はまだです。太陽の代わりに煌々と満月が私達の足もとを照らしてくれていました。
最初の1時間半。1つ目の長く続く坂道を登り、一気に体力を消耗してしまいました。
こうなったらもう焦ることは必要ありません。フィステーラはアルベルゲの数も多いので、遅くに着いてもどこかしらのアルベルゲが空いているはずです。なので時間は気にせず自分の身体に正直に、疲れたら休む作戦です。
割と早めの出発だったのか最初は人気がなかったのですが、3時間経って10キロ程歩いた頃にはもうどんどん抜かされていきます。そして反対にフィステーラからムシアに向かう巡礼者ともすれ違いはじめました。
結構人数が多く、最後に怒涛のブエンカミーノの応酬。果たしてこの巡礼で何回何十回いや何百回と言ったブエンカミーノ。話しかけられてちょっとなんて言ってるかわからなくても最後にブエンカミーノ!と言えばなんとかなるし、疲れてる時に巡礼者に明るい声でブエンカミーノ!と言われればちょっと元気がでるし、もちろんブエンカミーノ!と言って返ってこないとさみしいんですよね。
矢印はフィステーラの方を指していたり、ムシアの方を指していたり、両方を指していたりとちょっと分かりにくい箇所がいくつかありましたが、結構巡礼者が多いので迷いはしませんでした。
途中で、またごとうさんに抜かされていました。やっぱりマラソンをされているだけあって速いです。年齢を重ねても健康な身体、大事ですね。
ムシアからフィステーラまで歩く巡礼者の中で、それまでの巡礼で何度か顔を合わせた人ともすれ違いました。とっくに私達より先を歩いていると思っていましたが、まさかここで会うとは。まさに巡り会いです。
そしてまた坂道を登って休憩、下って休憩。残りついに7キロ地点で、お昼ご飯。時間はすでに12時。到着は1時いや2時くらいになりそうです。お昼ご飯はお決まりのサンドイッチ。夕食を作る時にいつも諭さんが作ってくれます。フランスパンにツナマヨやコーンマヨなどを、時々玉ねぎやキュウリ、レタスなどの野菜を挟んで。今日は豪華に、ブーケレタス、キュウリ、ゆで卵、ツナマヨが入っています。最後のカミーノ弁当、最高に美味しかったです!
休憩所にあったドネーションのオレンジジュースとリンゴをいただいてお腹いっぱいになり、元気に再スタート!、、、とはいかないんですね、、、すでに20キロ歩いた私達の身体はすでにピークを越えていて本当にキツイ。もう本当に今日で最後だからと言い聞かせるも、痛いものは痛いのです。くそ〜〜。
そして登り坂。ほんとくじけそうになります。
それでも今日はわざと明るい声だして、ふざけてみたり、歌ってみたり。疲れて不機嫌になるのはやめよう。笑顔で終わろうと心がけました。
そしてついにまた海が見えて来ました。終わりはもうちょっと。
巡礼路の脇の住民の方に、あと2キロだよ!と声をかけられて
よし!最後の最後だ!と気合いが入りました。
が、全然つきません。
もうちょっと、
もうちょっと、
と言って全然もうちょっとじゃない!
もうちょっともうちょっと詐欺だー!と思わず笑い半分怒り半分の叫びが出ました。
結果、声をかけられた地点からアルベルゲまで5キロありました。悲しいを通り過ぎて、切なくなってきました。足首の関節も砕けるんじゃないかってバカな心配をしたくなるほど痛い。諭さんも肩が辛そうです。
半泣きになりつつ、頑張るぞ!頑張るぞ!と励ましあって遂にアルベルゲに到着しました。すでに時計は14時をすぎていました。
フィステーラの公営アルベルゲのベッド数は少ないので、どうせダメだろうと思いつつもまずは行ってみようということで行ったら、巡礼者の列が。ここのアルベルゲは到達証明書の発行も兼ねているのでみんな一度は立ち寄るところです。
なので、まあ到達証明書だけでももらって、他の宿を探すつもりで並んでいるとどうやら14時に開いたばかりとのこと!さらに半分くらいの人が到達証明書のみで宿泊は他に予約していたり、そのままバスに乗ってサンティアゴコンポステーラへ帰る人もいるので、私達は無事に泊まることができました。
公営は安くすむので、嬉しいです。しかもキッチンもあり、その上隣がスーパーという立地。最後のご褒美でしょうか。
ごとうさんと私達を含め今日は日本人が6人がこの公営アルベルゲにいました。受付をしてくれたオスピタレロが今日はハポンが多いわね!と言っていました。
こんなに歩いている人がいたんだなー。と思いました。
無事にベッドも確保できたので一安心。ようやく靴を脱いで一息です。
到着時間が遅いのと、夕日が落ちる頃にまだ3キロ先の灯台に行くつもりなので、ちょっと忙しいですが、いつものルーティーンワーク、シャワー洗濯自炊をしました。
いつもより身体が重たいのでひとつひとつがよりつらいです。
ご飯を食べ終わる頃にはもう7時半。8時過ぎにまたアルベルゲをでて、3キロ先の灯台へ。
カミーノの最終地点、0キロの標識のある灯台へ。重たい身体に鞭打ってゆるやかな長い坂を上っていきます。
同じように夕日を見にいく巡礼者が多く先を歩いていました。
この3キロ。結構長くて、アルベルゲで休んだとはいえ堪えました。
そして0キロ地点で記念写真。カミーノ達成です!!
そして灯台から、夕日が落ちるのを待ちました。ごとうさんも来ていたので一緒に話しながら待ちました。
カミーノの終わりに思うことはいろいろとありますが、とにかく諭さんに本当にありがとうと言う気持ちでいっぱいです。
私のチャレンジに一緒に付き合ってくれて、私がへこたれたり、泣いたり、怒ったりしても、黙って、怒らないで、励ましてくれてありがとう。
今まで嫌なことや辛いことから逃げてきた私にとって最後までやり遂げる、というこの経験はこれからの私にとって絶対に大切なものになると思います。
カミーノの終わりに新しい人生が始まる。という素敵な言葉があるそうです。
夕日が落ちて肌寒くなり、暗くなる前に帰路につきましたが、太陽が落ちた反対側には大きな満月が昇っていました。
海は広いな大きな
月は昇るし日は沈む
懐かしい歌を歌いながら歩いて、帰りは下りなので少し楽でした。
途中で万歩計を見ると58000歩。
とんでもない記録です。でもどうせなら60000歩がいいじゃんと諭さんがいうのでちょっとアルベルゲの先にある港を見て回って帰りました。
結局夕日が沈みきったのは22:30。その後1時間程歩いて帰ってきて、もう23:30。
スペイン時間にはやっぱり慣れません。
でも久しぶりの夜ふかし。身体ももうクタクタなので、ベッドにすぐ入って寝ます。
明日は朝のバスでサンティアゴコンポステーラへ帰ります。